2026.4.15
学校情報化認定 優良校紹介 加速する教育DX ~第4次高森町新教育プランが目指すもの~

熊本県高森町教育委員会 教育長 古庄 泰則
1.はじめに
熊本県高森町では、「高森に誇りを持ち、夢を抱き、元気の出る教育」をスローガンとした「高森町新教育プラン」を策定しています。本町の教育改革の最大の特徴は、町長の強力なリーダーシップのもと、行政、教育委員会、学校が「三位一体」となって取り組んでいる点にあります。人口減少やグローバル化といった社会の変化を「風」として捉え、教育を町づくりの核と位置づけ、教職員ファーストの精神で改革を推進しています。
2.教育DXの歩みとICT環境
本町のICT環境整備は、平成24年の全普通教室への電子黒板配備から本格化しました。町独自の光ケーブル網整備を礎に、国に先駆けて1人1台のタブレット端末環境を構築し、デジタル教科書や校務支援システムも早期に導入しました。民間企業や大学等との産学官連携を継続することで、常に最新の知見を取り入れ、現在は全国トップクラスのICT活用環境を維持・更新し続けています。
3.自立した学習者を育む学びの変革
本町では第4次新教育プランの最重点事項として「自立した学習者の育成」を研究主題に掲げ、高森町教育研究会を中心に取り組んでいます。近年は文部科学省「リーディングDXスクール事業」の指定を受け、全校で「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を目指した授業改善を加速させてきました。

研究の成果を披露する場として、年間3回「高森町公開授業」を開催しました。6月、11月、2月の授業公開を行うことで、1年間を通した子どもたちの「成長のプロセス」を全国に発信しました(右写真)。

「自立した学習者」とは、①自ら課題を設定し解決の見通しを立てる力、②他者と協働して課題を解決する力、③自らの学びを把握し調整する力、の3つの資質・能力を備えた姿です。公開授業では、子どもたちが1人1台端末とクラウドサービスを文房具のように使いこなし、他校の児童生徒や外部専門機関とオンラインで繋がりながら、自らの問いを探究する「高森型探究学習」を展開しています(左写真)。
ICTを使うこと自体を目的とするのではなく、「ツール」として活用し、子どもたちが主体的に学びをデザインする学習者主体の授業モデルを構築しました。この学びの変革こそが、予測困難な未来をたくましく切り拓く人材育成の基盤と考えます。
4.子どもが創る地域の未来
小中一貫教育の集大成として実施される「子ども議会」は、本町の教育と地域が繋がる象徴的な場です。中学3年生が町政に提案した「高齢者向けeスポーツの開発」は、実際に全52カ所の公民館で活用され、認知症予防と多世代交流に貢献しています。
また、学校から始まった「タブレット図書館」を町民全体へ開放するなど、教育DXの成果が地域全体の利便性向上や活性化に直接結びついています。
5.おわりに
これまでの取り組みの結果、成人式(二十歳の集い)のアンケートでは、約93%の卒業生が「高森に誇りを持っている」と回答し、ICT教育が卒業後の進路で役立っていると実感しています。教育の成果は着実に「人づくり・町づくり」へと繋がっています。これからも「風を興す」挑戦を続け、教育DXをさらに深化させながら、地域に根差したイノベーションを創出し、未来を拓く人材を育み続けます。