loading...

JAET

Cover Screen

2026.10.27

答申から5年―「学び方」を起点に授業を考える

京都教育大学 教育創生リージョナルセンター機構 教職キャリア高度化センター 准教授 大久保 紀一朗

 令和3年1月の中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」が示されてから,5年余りが経ちました。当時小学校教諭だった私は,一見相反する「個別最適な学び」と「協働的な学び」をどう一体的に充実させるのか,教員仲間と知恵を絞っていました。

 時を同じくして,GIGAスクール構想による1人1台端末やネットワークの整備も本格化しました。勤務校ではそれ以前から全校で40台のiPadを導入し,端末を活用した授業づくりに少しずつ取り組んでいました。JAET島根大会が開かれたのもその頃です。その積み重ねを土台に,デジタル学習基盤を生かして授業の在り方を見直し,子供たち一人一人がその子らしく深い学びに到達できるよう,試行錯誤を重ねました。

 現在は大学教員として,授業研究などで多くの学校にお邪魔しています。いわゆるセカンドGIGAによる端末の更新も進み,デジタル学習基盤を前提とした次期学習指導要領の議論も具体化してきました。一方で,デジタルかアナログかで迷ったり,内容を確実に教えたいという思いから従来の授業の形を変えにくかったりする,という声も伺います。いずれも,目の前の子供たちに真剣に向き合っているからこその悩みだと思います。

 次期学習指導要領に向けた議論で一つのキーワードになっているのが,「学びの主体的な調整」です。子供たちが自ら学びを調整し,深い学びへ向かう姿が求められています。そうであれば,端末を使ってどう学ぶのかという「学び方」から授業を見直し,その上で新たな学び方による深い学びを描いていく。そんな順序で考えてみることも,一つの道ではないでしょうか。

 生成AIに象徴されるように,情報技術の進展はますます加速していくでしょう。その変化に適応していくには,私たち自身も学び続け,教育を常にアップデートしながら,これからの時代に求められる資質・能力を育んでいくことが大切です。

 変化を前向きに受け止め,日々の授業で挑戦を重ねておられる先生方と,これからも共に考え,共に歩んでいきたいと思います。